■アールベルグスキー術■
高橋二郎　著
博文館
昭和四年初版

■感想など

　すべてのスキーヤーのバイブル　「アールベルグスキー術」を手に入れました。現在でもこの本の権利があるのかどうかわかりませんが、参考になりすぎるのでここに紹介させていただきます。現在のスキーがすべて正しいと思ってはいけません。この本に書かれている事こそがスキーの本流なのです。なお、以下に抜粋するのは、内容の要約ではなく、私がグッときたところだけです。
（※権利上で問題ありましたらお申し出下さい）


以下、ヒマな時に適当に順不同で更新します。





●第一編　装備



【スキー】
　一般的基準としては、背伸びせずに、伸した手がスキー先端に達する位の長さのスキーを選ばなければならない。…（略）…テレマーク滑降においては、長いスキーが安定である。短いスキーでは前後に開いたスキーが容易に混乱を来して危険である。…（略）…スキーの木質としてはヒッコリー（Ｈｉｃｋｏｒｙ）とアッシ（Ａｓｈｅ、Ｅｓｃｈｅ）が最上である。…（略）…最後に、スキーの取扱上最も注意を払わなければならない事は、決してスキー末尾を下にして立てかけたり、雪の中に突き刺したりせずに、常にスキー先端を下におく様にしなければならない。是は些細なことではあるが、極めて重要な事である。若しも、之に反して末尾を雪中に突きさす様なことをすると、末尾に雪が凍り附いて滑降に支障を来す。


【シュテッケ】
　今日では、二本のスキーを用ひると同様に、二本の杖を用ひる事が、自明の事となつて居て、単杖はスキー博物館行きのものである。…（略＆注：なんか強気だ）…竹に恵まれた日本においては竹の杖を作るべきであって、何も好んで舶来の高価な併かも杖としては不適当な木の杖などを使用するにはあたらない。雪輪は、直径一七糎乃至二〇糎で、輪は丈夫な二本の藤で作り、その編目を細い皮で密に編んだものが良い。アルミニユームや木はいけない。…（略）


【靴の取扱法】
　靴に水の染み込まない様にするには如何にすべきか。それには正しい方法で手縫ひして、上皮の縫糸を下皮まで通さない様にする事、及び最上級の牛革を用ひる事が必要である。（略＆注：やはりスキーと言えば革靴です）
今でも靴の手入と云ふとワセリンや馬の油脂をベタゝと塗り付ける事以外には考へないスキー家が多いが、それは靴にとつての致命傷である。それがために、皮革の気孔が開き、水が浸透するのに好都合になつてしまふのである。（略）
所で、先づ、湿潤せる靴に、一二度、流動艶の油を力強く隈なく塗る。そして、一週間位普通の靴墨をその上に毎日塗つては磨き塗つては磨きしてピカゝに光る様にする。さうすると、気孔の中に靴墨がつまつてしまふので、水が侵入しなくなるのみならず、一年位は型がくづれなくなる。そこで始めて動物性の油脂をその上に塗つて湿つている靴を乾草又は新聞紙で擦り…（略）


【衣服】
　初心者は寒さを恐れて澤山の下着を着過ぎるけれども、激烈な運動をするのであるから厚毛のスウェーター等は殆ど無用である。…（略）…婦女子のスキー服は、美麗でしかも實用的なものでなければならない。が、それは仲々難しい註文である。實用一点張りで行くと、上衣なしでヅボンをはけば一番良いが。惜しい哉、それは何処から見ても美しくは見えないそこで、半ヅボンを用ひると、最もよく此の両目的に副うことになるであらう。


【ルックサック】
　従来、日本のスキー家、登山家は『リュックサック』と言う言葉を用ひてきたが、それは何かの誤りであらう。…（註：２００３年現在もリュックサックです）




つづく

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